2017年12月16日、クラブツーリズム㈱の主催によりバリアフリー旅行「車椅子で、雪遊び。」ツアーの見学会が実施されました。障害がある方の羽田空港での動線を体感し、安心してツアーに参加できるよう企画されたものです。イベントの様子をお届けします。
「車いすで、雪遊び。」ツアーの概要
- ツアー名:北海道ツアー「車いすで、雪遊び。キロロリゾートで過ごす北海道3日間」
- 主催旅行会社:クラブツーリズム㈱
- 協賛:日本航空株式会社、一般社団法人 ata Alliance
- 期間:2018年1月20日(土)~22日(月)の3日間
- 宿泊先:キロロ トリビュートポートフィリオホテル北海道(洋室)
- 内容:デュアルスキー・バイスキー・シェルパをご体験。
クラブツーリズム㈱は1997年から20年間、バリアフリーツアーを他社に先駆けて取り組んでいます。今回のツアーも現地誘導・バイスキー・シェルパの手配も行っています。
羽田空港にて事前説明会を開催
12月16日(土)に羽田空港第一ターミナルのスマイルサポートカウンター前にて集合しました。
まず各3社が本日の空港見学会と搭乗見学会の説明を行いました。
一般社団法人「ata Alliance」の代表、中岡亜希さんのご挨拶がありました。中岡さんはご旅行好きな元JAL(日本航空)客室乗務員でしたが、16年前に筋疾患の「遠位型ミオパチー」という難病を患い、退職することとなりました。
しかし難病になっても旅行に行きたい気持ちが強く、車いすの立場になっても諦めずに旅ができる楽しみを知って頂きたく今回のイベントを開催しました。
バリアフリー旅行には木製の車椅子が活躍
こちらが木製で出来た車いすです。
従来の車いすは金属部品を使用しているためどうしても保安検査の機械に反応してしまい、車いすにお乗りになられている方にもご負担になってしまいます。
そこで開発されたのが木製でした。木製ですと全く反応しないのでご負担が無く通過出来るとのことです。
車輪などの部品は樹脂製となっていました。
また強度を確かめたところ、しっかりと丈夫に作られていました。
機内移動の際で邪魔にならないよう、手すりを簡単に取り外すことが出来るなど、隅々まで考慮されている車いすです。
またミライスピーカー®は大きな音を出さなくても遠くまで響き渡り、言葉や音楽をはっきりと届けることが出来るバリアフリースピーカーです。
保安検査場を通過、搭乗口まで移動
保安検査場を通過し、搭乗口まで移動します。参加者の方々はJALスタッフとお話しながら楽しく移動をされているようでした。
移動中には、バリアフリートイレの場所を説明するなど、JAL案内スタッフの細かい気遣いに感動しました。
トラベルCAMPUSがata中岡さんへ独占インタビュー
搭乗体験の飛行機が到着するまで、私スガがata Alliance代表中岡亜希さんへ独占インタビューを行いました。
スガ:今回このご旅行の提案をしたきっかけは?
中岡さん:今回クラブツーリズムさんとJALさんとで、北海道のツアーで車いすの方でも楽しんで頂くツアーを企画したところが出発点でした。自分が住んでいる身近な場所だけではなく、飛行機で行きたい場所があると思います。しかし、電車と違って飛行機は普段乗り慣れているものではなく、車いすで飛行機に乗るシーンはなかなか想像出来ません。それだけで諦めてしまう方々がいると思うんですね。
中岡さん:見学会を開催することでそのハードルを下げて、「まずは知って頂くことが一番」に意義があると思います。
スガ:今回の見学会の案はどういった経緯で?
中岡さん:クラブツーリズムさんとJALさんとで話し合った中で出てきた案です。
スガ:そういう経緯だったのですね。事前に見学会を開催することで参加者の方に安心感が得られますね。ありがとうございました。
搭乗体験会が開催
搭乗体験を行う飛行機が到着すると、木製車いすから機内用の車いすへ乗り換えて搭乗をします。
こちらが機内移動用の車いすでコンパクトな形になっています。なんとJAL日本航空の特注品とのことです。
参加者に専属した客室乗務員が着席に際しお手伝いを行いました。座り心地やサポートなどを確認していました。
今回、搭乗体験会で用意された飛行機は「B777」型機。こちらの飛行機は車いす対応のトイレもありバリアフリーが考慮されています。安心してトイレの利用も出来ます。
従来より座席を約5cmスリム化をすることで、前後の空間を広く確保した新型シート「JAL SKY NEXT」を体験した中岡さん。その座り心地に大満足のご様子でした。
JAL広報の提案により、元JAL客室乗務員でもあった中岡さんによる機内放送が行われました。
中岡さん「本日はご搭乗ありがとうございます。間もなく離陸いたします。シートベルトをしっかりお締めください」
難病を抱え、かつて客室乗務員を道半ばで諦めざるを得なくなった中岡さん。いつしか涙声になっていた16年ぶりの彼女の放送に、我々取材陣を含め機内全体が感動に包まれました。
体験会終了後は手荷物返却などのレクチャーが行われ、クラブツーリズムのスタッフさんから挨拶が行われました。
このような体験会の実施は、普段わたしたちが意識することの難しい課題や環境を知る良いきっかけになることでしょう。
また実際に搭乗までの動線や流れを体験することで、身体にハンデを抱えられている方も、より安心して空の旅を楽しむことができると思います。
また取材のご協力を頂きましたクラブツーリズム様、日本航空様、ata Alliance様、参加者のみなさま方、ありがとうございました。
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