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なぜ飛行機に乗るのは左側から?航空機と船の意外なつながり

普段飛行機を使って旅行や出張、帰省に行かれる方の中でも、飛行機と船に意外な共通点がいくつもあることをご存知の方は少ないのではないでしょうか?

飛行機の慣習や用語の中には、ライト兄弟が有人での初飛行に成功した1903年から100年ほどの歴史しかない航空機よりも長い歴史を持つ、船の世界から来ているものがたくさんあります。

今回はその中から、普段飛行機を使う中で意外と気付かない、身近なものを取り扱いたいと思います。

飛行機のことを「シップ」と呼ぶ船由来の航空用語

Image copyright (C) 2020 Tsubasa.E (撮影場所:名古屋・中部国際空港)

映画やドラマ、ドキュメンタリー、テーマパークのアトラクションなどで、機長のことを「キャプテン(captain)」と呼んでいるのに、お気付きでしょうか?実はこれ、元々は船の船長だったり艦隊の艦長を指す言葉を流用したものです。

パイロットという用語も、元々は水先案内人(外部からやってきた船を港や海峡、内海・湾内に誘導する人)を意味する単語でしたし、乗務員のことを「クルー(crew)」と呼ぶのも、元々は船乗りのことを指す用語です。

客室のことを「キャビン(cabin)」、飛行機のことを「シップ(ship)」と呼んでいますが、これは船と丸っきり一緒です。

宇宙船のことも「シップ」と呼んだりします。空港も「空の港」と漢字で書きますし、英語もAirportとなります。やはりここも船が停泊する港(port)から派生しています。

また、整備場を意味するドック、乗り降りの際に接続されるボーディングブリッジ(搭乗橋)も、飛行機と船で同じです。

飛行機に乗るときは左側から

Image copyright (C) 2017 Tsubasa.E (撮影場所:名古屋・中部国際空港)

飛行機に乗るときのドアは必ず機体の左側のドアを使用します。これも船の慣習から来たものです。

動力がなく手漕ぎだった時代、船の舵は船尾の右舷側に付いていて、これで船の動きをコントロールしていました。右側に船を動かす舵があるのに、右側から乗船下船をしているとコントロールが取れず都合が悪いことから、乗り降りは常に左側から行っていました。

この慣習が航空機にも生かされています。航空機では舵が右側についているわけではないので、右側のドアは機内食や飲み物の積み込み、緊急脱出時の非常口として使われます。

コックピットでは機長の席は左側

Image copyright (C) 2018 Tsubasa.E (撮影場所:東京・成田国際空港)

普段一般の方が入ることができないコックピットの中。操縦を担当する機長と副操縦士が席についていますが、上座ならぬものが存在するのか疑問に思う方もいると思います。

上座とは少しワケが違いますが、機長の席は左舷側となっています。

これは上述の「飛行機の乗り降りは左側から」という船の習わしに由来しており、左側から乗り降りする以上、船も左舷側を接岸させますが、その際左舷側を注視する必要があることや、道路を走る車と同様、海上航路では右側通行であることで、操舵輪(舵を取るハンドルのようなもの)が操舵室の左舷側にあったことから、機長席は左舷側になったと言われています。

ちなみにスロットルレバーはコックピットの中央にありますが、左利きの機長でも操作には問題ない設計になっており、逆に右利きの機長でも、操縦桿やサイドスティックは操作には問題ない設計になっています。

パイロットの肩章の線の数

パイロットの制服には、機長や副操縦士といった階級に応じて肩章の線の数が違い、機長の場合は4本、副操縦士は3本、航空機関士(現在はほとんどいない)は2本となっています。これは船というより、海軍の軍服が由来とされています。

海軍で言う大佐や一等海佐は4本線で機長にあたり、中佐や一等航海士は3本線で副操縦士にあたります。ちなみに、フライトによっては機長が2人割り当てられることもあり、2人とも肩章の線が4本だったりしますが、この場合、片方の機長が副操縦士役になります。

飛行機の翼のライト

Image copyright (C) 2017 Tsubasa.E (撮影場所:東京・羽田空港)

飛行機の翼のライトは、右舷側(正面から見て左側)が緑色、左舷側(正面から見て右側)が赤色ですが、これには船の決まりが由来しています。

夜間や濃霧などで視界が悪い時、近くにいる船と向かい合っているのか、進路が交差しているのか、追尾しているのかが分からないと、衝突の危険があります。

このため、右舷側は緑色の灯火、左舷側は赤色の灯火にして、進行方向を分かりやすくし、事前に衝突を回避できるようにしています。船には汽笛がありますが、音速に近い速度で飛行する航空機にとって汽笛は無意味なものであり、夜間は常にこの灯火に注意する必要があります。

ただ、至近距離まで近付いてから灯火に気付いても、回避できるだけの時間的余裕はほとんどないので、航空管制によって付近による航空機の報告とパイロットによる視認報告を行っているほか、近年ではTCAS(空中衝突防止装置)で衝突の可能性のある他機の存在を知れるようになっています。

航行時に用いられる単位

少し専門的な話になってしまいますが、航行時に用いられる単位も飛行機と船で同じものを使っています。速度を表す単位は「ノット(knot)」、距離を表す単位は「海里(nortical mile)」となっています。

飛行機は船に加え、空を飛んでいるので、高さを表す単位「フィート(feet)」を用いています。「1ノット=約0.5メートル毎秒」「1海里=1852メートル」「1フィート=約0.3メートル」となっています。

新規就航時の放水アーチ歓迎

新しく開港した空港にやってきた第一便や、新しく就航した航空会社の便・新たに開拓された路線の便・導入されたばかりの新鋭機が空港に到着すると、消防自動車による放水アーチ歓迎が行われることがありますが、実はこれも船の習わしが由来で、古くはギリシャ文明時代に遡ります。

入港してきた船に水をかけて歓迎の意を示す習わしがあり、それが2隻の船から放水アーチを作ってその下を入港してきた船が潜るようになり、航空機の慣習にも引き継がれました。

航空機の場合、古い機体のラストフライトの時にも放水アーチによる歓迎が行われることがあります。

同じ「フェリー」でも意味が違う?

元々渡し舟の意味で、今では大型船が往来しているか遠距離移動をする場合の船にその名前が定着している「フェリー」。航空用語にも「フェリー」が存在しますが、その意味は少し違います。

「フェリーフライト」とも言いますが、簡単に言うと「回送」のことです。通常のダイヤグラムを組む場合、航空会社は燃料の消費を抑えたいため、整備場のある大きな空港へのフェリーフライトは行わず、夜間は空港の駐機場に止めたままにする「ナイトステイ」を行いますが、天候悪化や故障などで機材繰りに支障が出た場合、本来充当される予定だった機材に変わって別の機材をどこかから持ってくる必要があります。

航空会社によって判断は異なりますが、代替機材を飛ばす手段の一つがこの「フェリーフライト」です。新しく完成した機材のデリバリーや、老朽化した機体の売却先や処分場への移動も「フェリーフライト」と呼ばれます。

事故時に垂直尾翼を塗りつぶす

2007年8月20日、沖縄・那覇空港で台北・台湾桃園国際空港から到着後のチャイナエアライン120便 ボーイング737-800 B-18616が炎上する事故がありました。

全焼し焼け落ちた機体のあられもない姿は新聞の一面に掲載されるなどして、覚えている方も多いのではないでしょうか。

実はあの写真が撮影された後、しばらく那覇空港の駐機場に据え置かれた機体には、チャイナエアラインのロゴマークである梅の花が描かれた垂直尾翼が真っ白に塗りつぶされるといった、手が加えられているのをご存知でしょうか?

古い慣習に精通していないのか、日本のメディアはこの行為を「企業イメージの低下を抑止する狙い」と批判的に報じましたが、これにはちゃんとした理由があります。「ファンネルマーク」と呼ばれる、船の煙突に描かれた海運会社や船舶の事業者ごとのシンボルマークがあるのですが、座礁や火災などの事故を起こした時には、国際的な慣習として、このファンネルマークを塗りつぶすことがあります。

航空会社の垂直尾翼に描かれているロゴも似たようなもので、航空会社の識別として様々なデザインがありますが、先述したチャイナエアライン120便の炎上事故以外にも、航空機事故の場合にもこの垂直尾翼のロゴを塗りつぶすことがあります。

1982年1月13日にアメリカのワシントンで、離陸に失敗し凍り付くポトマック川に墜落したエア・フロリダ90便墜落事故では、水没を免れ水面上に顔を出した状態で残った垂直尾翼には黒く斜線が引かれた状態の写真があります。

1988年4月28日に同じくアメリカのハワイで、金属疲労が原因で飛行中に天井が吹き飛び客室乗務員1名が機外に吸い出され行方不明になったアロハ航空243便の事故では、傷ついた機体でマウイ島のカフルイ空港への緊急着陸に成功し、残りの乗員乗客は全員生還しましたが、この後撮られた写真を見ると、垂直尾翼に描かれた「ALOHA」の文字が塗りつぶされているのが確認できます。

飛行機と船の共通点まとめ

飛行機と船の意外な共通点を列挙してきましたが、いかがでしたか?普段飛行機に乗っているだけではなかなか知れない奥深い部分を紹介しました。

長い歴史を持つ船の慣習は、輸送力と安全性、スピードに長け、幅広く利用されるようになった航空機へと引き継がれています。今度飛行機に乗る際には、この意外な共通点を意識しながら乗ってみるのもいかがでしょうか。

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